ご存知の通りHANA DBはLinux OS(SUSE or RedHat)のみ利用可能となっています
また、DB Serverには、S/4HANAを含むHANA DB以外のアプリケーションインストールは推奨されておらず、Distributed構成(AP ServerとDB Serverを分ける)とするよう推奨されております
今回は、これらOSや環境構成の変化に伴いどのようなことを考慮する必要があるかについて簡単にお話します
※これは余談ですが、Distributed構成についてはあくまで”推奨”なので、AP/DBが同一サーバでもインストールや移行等々やろうと思えばできちゃいます(そのうちインストール時に制御が入ってくるかなどは分かりませんが・・)
目次
考えられる環境構成
前提として、サーバ台数が最低限の構成の場合どうなるかでお話します
パターンは以下2通りになると思います
パターン1:AP ServerのOSが変わらない
主に、現行AP/DBともにWindows → DBのみLinuxとする場合です
HANA用にDB ServerはLinuxとし、S/4HANAが乗るAP Serverは後述する影響範囲を考慮し、Windowsのままとするパターンです
パターン2:AP ServerのOSが変わる
現行AP/DBともにWindows → AP/DBともにLinuxとする場合です
現行環境の使い方に依存しますが、特にパターン2は現行システムの運用方法によっては厄介度合い(影響範囲)が大きくなりがちかと思います
影響箇所
AP ServerのOSが変わることによりどういったところに影響があるでしょうか
①移行方式
AP ServerのOSが変わる or 変わらないことにより、移行方式や必要サーバ台数(中間機)が変わってきます
パターン1:AP ServerのOSが変わらない
SUMを使ってDBマイグレーション+APバージョンアップ(ERP→S/4HANA)を行うので、中間AP Serverは1台でOKです
絵で描くとこんな感じ↓
パターン2:AP ServerのOSが変わる
中間AP Server用Windows環境が必要で、計4台構成となります
移行方式としては、SYSTEM MOVEというオプションを利用して移行が行われます(SUM実行中のオプション)
流れとしては、中間DBでHANA用に変換されたデータが中間APにファイルとしてExportされます
その後、ファイルをLinux Server側の/usr/sap/SID/SUMにコピー(予めS/4HANAはインストールしておく)
Linux用SUM Archiveファイルを同じ場所にコピー(一部ファイルは上書きされるがそれでOK)
Linux用SUM実行ファイル”SUMSTART”を実行し、中間AP Server等のWebブラウザからLinux側で実行されているSUM実行画面にアクセス
という流れになります
こちらの方が、File Export & Import、File copy時間が掛かるため、ダウンタイムへの影響も大きいのではと思います
これまた絵に描くとこんな感じ↓
②周辺システム間連携
現行機の使い方に完全に依存してしまいますが、たとえば現行AP Server上でSAPがファイル入出力をしている場合や、周辺システムへ直接ファイルを入出力するなどしている場合(多くの環境で行われている?)、AP ServerのOSをWindowsからLinuxへ変える際は要考慮事項となります
アドオンPGM等でファイル連携をしている場合は、要検討事項として入れておきたいですね
こちらも絵にするとこんな感じ↓
今回はこれで以上です
移行方法はプロジェクトにそこまで大したインパクトを与えないと思いますが、周辺連携の影響範囲は環境によってはかなりのインパクトがありそうなので、それらも考慮した上でAP ServerをWindowsにするのかLinuxにするのか、検討した方がよさそうですね(Basis、Appliで仲良く検討してください)
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